Google Analytics 4の目的別に見るべき指標とは?サイト改善に繋がる分析のコツを3つの目的で解説

GA4の分析は「集客・行動・成果」の3つの目的を意識するだけで、驚くほどシンプルになります。
多くの指標を闇雲に追うのではなく目的に合わせて見るべき指標を絞ることで、データに基づいた的確なサイト改善が可能になるからです。
この記事ではその3つの目的別に、初心者が押さえるべき重要指標を厳選してご紹介します。
GA4分析を成功させる
3つの基本目的
目次

GA4の多機能なレポートを前にして、どこから手をつければ良いか迷うのは当然です。
しかし、分析の目的を大きく以下の3つに分けるだけで、見るべき指標や進むべき方向がクリアになります。
- 目的1:どれだけ人が集まっているか(集客の分析)
- 目的2:サイト内でユーザーがどう動いているか(行動の分析)
- 目的3:サイトの目標を達成できているか(成果の分析)
ウェブサイトの分析は、この「集客」「行動」「成果」という3つの大きな流れで捉えるのが基本です。
まず、どれだけ多くのユーザーがどこからサイトに訪れているのか(集客)を把握します。
次に、サイトに来たユーザーがどのページに興味を持ち、どのようにサイト内を移動しているのか(行動)を観察することが大切です。
そして最終的に、その行動が商品購入や問い合わせといったサイトの目標(成果)に結びついているかを確認します。
この3つはそれぞれ独立しているのではなく、密接に関連しています。
この後の章で、それぞれの目的に対応する具体的な指標を詳しく見ていきましょう。
サイトの集客力を測る
4つの重要指標

サイト改善の第一歩は「どれだけの人が、どこから来ているのか」という現状を正しく把握することから始まります。
ここでは、サイトの集客力を測るために欠かせない、基本的な4つの指標を見ていきましょう。
- ① ユーザー:サイトを訪れた純粋な人数
- ② 新規ユーザー数:初めてサイトを訪れた人の数
- ③ セッション:ユーザーによる一連の訪問行動
- ④ 流入チャネル:ユーザーがどこから来たか
これらの指標は、サイトの基本的な健康状態を示す診断書のようなものです。
まず「ユーザー」と「新規ユーザー数」を確認することで、サイト全体の人気度や新しいファンが順調に増えているかを把握できます。
次に「セッション」に注目すると、リピーターがどれだけ頻繁にサイトを訪れてくれているか、その熱量を知る手がかりになるでしょう。
そして特に重要なのが「流入チャネル」です。
SNS、広告、自然検索といった各経路からの訪問がサイトの目標達成にどう貢献しているかを特定できれば、
今後のマーケティング活動でどこに力を入れるべきかが明確になります。
それでは、これらの指標をより深く理解していきましょう。
① ユーザー:サイトを訪れた純粋な人数
「ユーザー」は指定した期間内にあなたのサイトを一度でも訪れた「純粋な人数」を指します。
これはサイトの規模や影響力を測るための最も基本的な指標であり、あらゆる分析の基礎となる重要な数値です。
この指標が重要な理由は同じ人が期間内に何度訪問しても「1人」としてカウントされるため、
実際にどれだけ多くの人がサイトに興味を持ってくれたかを正確に把握できる点にあります。
この「ユーザー」数が着実に増加していれば、サイトの認知度が向上し、ビジネスが順調に成長している証拠と捉えることができます。
たとえば月間のユーザー数が1,000人から1,200人へと増加した場合、実施したSEO対策やSNSキャンペーンが成功している可能性が高いでしょう。
逆に数値が伸び悩んでいる場合は集客施策の見直しや、新しいコンテンツの投入が必要かもしれません。
この指標は、GA4のレポートで簡単に確認できます。
- 確認場所: [レポート] > [集客] > [トラフィック獲得]
このように、「ユーザー」数を定期的に観測することはサイトの全体的な健康状態を把握する上で不可欠です。
まずはこの数値を基準として、サイトがしっかりと成長軌道に乗っているかを確認することから始めてみましょう。
② 新規ユーザー数:初めてサイトを訪れた人の数
「新規ユーザー数」は指定した期間内に、初めてあなたのサイトを訪問した人の総数を示します。
この指標はサイトの認知度がどれだけ拡大しているか、そして新しい顧客層へアプローチできているかを測るための重要なバロメーターです。
この数値を分析することで現在のサイトがリピーターに依存しているのか、あるいは継続的に新しい顧客を獲得して成長しているのかを判断できます。
全体のユーザー数に占める新規ユーザーの割合が高ければ、集客施策が成功し事業が拡大していると評価できるでしょう。
例えば、全体のユーザー数は増加しているにもかかわらず、新規ユーザー数が横ばいの場合を考えてみます。
この状況は「既存ファンの満足度は高いものの、新しい層へのアピールが課題」という仮説に繋がります。
その対策としてこれまで狙っていなかったキーワードでSEO記事を作成したり、認知度向上のためのWeb広告を出稿したりといった施策が考えられます。
- 確認場所: [レポート] > [集客] > [トラフィック獲得]
このように「新規ユーザー数」は、サイトの未来の成長性を占う先行指標とも言えるでしょう。
安定して新しい訪問者を呼び込めているか、この数値を定期的にチェックし集客戦略が正しく機能しているかを確認する習慣が大切です。
③ セッション:ユーザーによる一連の訪問行動
「セッション」とはユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動のことで、分かりやすく言えば「訪問回数」を意味します。
1人のユーザーが期間内に3回サイトを訪れた場合、GA4では「1ユーザー、3セッション」と記録されます。
この指標が重要なのはユーザーの「熱量」や「関心の高さ」を測ることができるからです。
ユーザー数とセッションの数値を比較することで、サイトがリピーターにどれだけ愛されているかが明らかになります。
セッション数がユーザー数を大きく上回っていれば、それだけ何度も再訪問してくれる熱心なファンが多いと判断できるでしょう。
たとえば、月間のユーザー数が1,000でセッション数が1,500だったとします。
これは多くのユーザーが平均1.5回サイトを訪れていることを示しており、活気がある状態と考えられます。
逆に、ユーザー数とセッション数がほぼ同じ場合、ほとんどのユーザーが一度しか訪れていないことになります。
その場合は再訪を促すメールマガジンの配信や、有益な情報を発信するSNSアカウントの運用などを強化する必要があるかもしれません。
- 確認場所: [レポート] > [集客] > [トラフィック獲得]
このように「セッション」は、単なる訪問者の数ではなく、サイトとユーザーとの「関係性の深さ」を測るための指標です。
この数値からユーザーの愛着度を読み解き、より多くのファンを獲得するためのサイト運営に役立てていきましょう。
④ 流入チャネル:ユーザーがどこから来たか
「流入チャネル」はユーザーがどのような経路であなたのサイトにたどり着いたかを示すデータです。
これは数ある指標の中でも特に重要度が高く、どの集客施策が本当に成果を生んでいるのかを具体的に知るために不可欠な分析項目となります。
この指標を確認する理由は、かけた労力やコストが実際の成果に結びついているかを判断できるからです。
「力を入れているSNSからの訪問者は、本当に商品を購入してくれているのか」「SEO対策とWeb広告、どちらが効果的か」といった疑問に対し、
データに基づいた明確な答えを得られます。
これにより、効果の高い施策にリソースを集中させることが可能になります。
GA4では、流入チャネルが主に以下のように分類されています。
- Organic Search: Googleなどの自然検索からの訪問
- Paid Search: リスティング広告経由の訪問
- Social: X(旧Twitter)やInstagramなどSNSからの訪問
- Referral: 他のサイトに貼られたリンクからの訪問
- Direct: URLの直接入力やお気に入りからの訪問
各チャネルのコンバージョン率を比較し「自然検索からのユーザーは購入率が高い」といった事実が分かれば、今後のSEO強化という戦略に繋がります。
- 確認場所: [レポート] > [集客] > [トラフィック獲得]
このように「流入チャネル」の分析は、あなたのマーケティング活動の「答え合わせ」と言えるでしょう。
感覚ではなくデータに基づいて各施策の貢献度を評価し、よりスマートな集客戦略を描くために活用してください。
ユーザーの満足度を映し出す
3つの行動指標

多くのユーザーをサイトに集めることができたら、次に知りたいのは「訪問したユーザーがコンテンツに満足してくれたか」という点です。
ここではユーザーのサイト内での行動から、その満足度や関心の高さを読み解くための3つの指標を解説します。
- ① エンゲージメント率:ユーザーがどれだけ関心を示したか
- ② 表示回数:各ページが合計で何回見られたか
- ③ イベント数:特定の行動が何回実行されたか
サイトを訪れたユーザーがすぐに離脱せず、ページの隅々まで読んでくれたり、次のページへ進んでくれたりするのはコンテンツに価値を感じている証拠です。
「エンゲージメント率」は、そうしたユーザーの関心の高さを直接的に示す新しい指標です。
また、「表示回数」を分析すれば、どのページが人気で、どのページに課題があるのかを特定できます。
さらに「イベント数」を追うことでページの閲覧だけでなく、動画の再生や外部リンクのクリックといった、より具体的なアクションを計測することも可能です。
これらの行動指標を分析し、ユーザーのニーズに応えるサイト改善を進めていきましょう。
① エンゲージメント率:ユーザーがどれだけ関心を示したか
「エンゲージメント率」とは、サイトに対してユーザーが積極的に関わったと見なされるセッション(訪問)の割合を示す指標です。
具体的には「10秒以上滞在した」「コンバージョンイベントが発生した」「2ページ以上を閲覧した」のいずれかの条件を満たした訪問が
「エンゲージのあったセッション」と定義されます。
この指標は旧GA(ユニバーサルアナリティクス)の「直帰率」に代わる、よりユーザー行動の実態に即したものです。
ページを訪れて熟読しただけでも「直帰」と判断されていた旧GAとは異なり、ユーザーがコンテンツに意味のある反応を示したかを正確に測れます。
この率が高いほど、ユーザーがコンテンツに価値を感じていると判断できるのです。
たとえば特定のページのエンゲージメント率が他と比べて著しく低い場合、
「タイトルに惹かれて訪問したが、期待した情報がなかった」あるいは「ページの表示速度が遅く、内容を見る前に離脱してしまった」といった原因が考えられます。
その際は記事の内容をより充実させたり、画像サイズを圧縮して表示速度を改善したりといった対策が有効となるでしょう。
- 確認場所: [レポート] > [エンゲージメント] > [ページとスクリーン]
このように「エンゲージメント率」は、ページの品質とユーザーの満足度をダイレクトに測るための核心的な指標と言えます。
この数値を改善していくことがサイト全体の評価を高め、最終的な成果へと繋がっていきます。
② 表示回数:各ページが合計で何回見られたか
「表示回数」はサイト内のそれぞれのページが閲覧された合計回数を示す、シンプルで分かりやすい指標です。
この数値を確認することで、どのコンテンツに人気が集まっており、サイトのどの部分にユーザーが最も関心を持っているのかを一目で把握できます。
この指標が重要なのは、ユーザーのニーズを直接的に理解する手がかりとなるからです。
表示回数が多いページは多くのユーザーがその情報を求めている証拠であり、あなたのサイトが持つ「強み」や「キラーコンテンツ」と言えます。
この強みを正しく認識することで、サイトの価値をさらに高める戦略を立てられます。
たとえば、「Aサービスの導入事例ページ」の表示回数が突出して多いとします。
この場合、ユーザーは具体的な活用イメージを強く求めていると判断できます。
そこで、そのページに詳しい資料のダウンロードリンクや関連セミナーの案内を追加すれば、見込み顧客をスムーズに次のステップへ導けるでしょう。
逆に、見てほしいはずの重要ページの表示回数が少ない場合はサイト内での導線設計に問題があるのかもしれません。
- 確認場所: [レポート] > [エンゲージメント] > [ページとスクリーン]
「表示回数」は、ユーザーの興味・関心を素直に映し出す鏡のような指標です。
このデータを元に人気コンテンツをさらに強化し、課題のあるページを改善することでサイト全体のユーザー体験を向上させていきましょう。
③ イベント数:特定の行動が何回実行されたか
「イベント数」とは単なるページの表示だけでなく、ユーザーがサイト上で行った特定の操作
(クリック、スクロール、動画再生、資料ダウンロードなど)の回数を計測する指標です。
GA4ではユーザーのあらゆる行動を「イベント」として捉えるため、サイト分析を深掘りする上で非常に重要な役割を担います。
この指標が重要なのはページの閲覧だけでは分からない、ユーザーのより積極的で具体的なアクションを可視化できるからです。
「どのページの動画がよく再生されているか」「どの外部リンクが最もクリックされているか」などを把握することで、
ユーザーの真の興味関心がどこにあるのかをより深く理解できます。
GA4では、特別な設定をしなくても以下のようなイベントが自動で計測されています。
- scroll: ユーザーがページを90%下までスクロールした
- click: サイト外へのリンクをクリックした
- file_download: PDFなどのファイルがダウンロードされた
例えば「資料請求ボタンのクリック数」をイベントとして計測し、その数値と実際の完了数に大きな差があれば
「入力フォームの途中で離脱するユーザーが多いのでは?」という仮説を立て、フォームの改善に取り組むことができます。
- 確認場所: [レポート] > [エンゲージメント] > [イベント]
このように「イベント数」は、ユーザーの行動をより解像度高く理解するための鍵となる指標です。
サイト上でどのようなアクションが活発に行われているかに注目することで、ユーザーの意図にさらに寄り添ったサイト改善が可能になるでしょう。
ビジネスの成果を測るための
3つのコンバージョン指標

サイトへの集客状況を把握しユーザーの行動を分析したら、いよいよ最終段階です。
その一連の流れが、最終的に「ビジネスの成果」にどれだけ結びついたかを確認していきましょう。
ここでは、サイトの目標達成度を測るための3つの重要な指標を解説します。
- ① コンバージョン:商品購入や問い合わせなど、成果の達成数
- ② セッションのコンバージョン率:訪問がどれだけ成果に結びついたか
- ③ 合計収益:ECサイトで特に重要な売上金額
ウェブサイトを運営するからには、必ず何らかの目的があるはずです。
「コンバージョン」に関する指標はその最終目的をどれだけ達成できたかを測るための、最も重要な成績表と言えます。
まずは「コンバージョン数」で、成果の絶対数を確認します。
次に「コンバージョン率」を見ることで、サイト訪問がどれだけ効率的に成果へ繋がっているのかを評価できます。
そしてECサイトなどでは「合計収益」を分析し、サイトが事業にどれだけの売上貢献をしているのかを直接的に把握することが不可欠です。
これらの指標を分析して、ビジネスをさらに成長させていきましょう。
① コンバージョン:商品購入や問い合わせなど、成果の達成数
「コンバージョン」とは、あなたのサイト上で設定した「最終的な成果」が達成された回数のことです。
これには「商品の購入完了」「問い合わせ」「資料請求」などが含まれ、サイト運営の目的そのものを示す最も重要な指標と言えます。
この指標を見るべき理由はこれまで行ってきたSEO対策やコンテンツ改善といったあらゆる施策が、
最終的にビジネスの売上や見込み客の獲得にどれだけ貢献したかを直接的に測れるからです。
この数値を追いかけることで、サイトのパフォーマンスと事業全体の成長とを連動させて評価することが可能になります。
例えばサイトのデザインをリニューアルした月のコンバージョン数が、前月比で30%増加したとします。
この結果はリニューアルがビジネスの成果に良い影響を与えたと判断する上で、非常に有力な材料となるでしょう。
なお、GA4ではあらかじめ特定のイベント(例:購入完了ページの表示など)を「コンバージョン」として設定する必要があります。
この設定により、成果に至ったユーザーの行動を詳細に分析できるようになります。
- 確認場所: [レポート] > [エンゲージメント] > [コンバージョン]
「コンバージョン数」はサイト運営における努力が報われた回数を示す、まさにゴールとなる指標です。
すべての分析や改善施策はこの数値を最大化するためにあると考え、日々のサイト運営に取り組んでいきましょう。
② セッションのコンバージョン率:訪問がどれだけ成果に結びついたか
「セッションのコンバージョン率」はサイトへの全訪問(全セッション)のうち、コンバージョンに至った訪問の割合を示す指標です。
これはあなたのサイトがどれだけ効率的に成果を生み出しているか、サイトの「実力」そのものを測るための非常に重要な数値となります。
コンバージョン数だけを見ていると、広告費をかけて訪問者を増やすだけで数は伸びてしまいます。
しかし、コンバージョン率は訪れたユーザーをどれだけ効果的に説得し、成果へと導けているかを評価する指標です。
この率を高めることは、サイトの「稼ぐ力」を直接的に向上させることに繋がります。
例えばコンバージョン率が1%のサイトがあったとします。
これは、100回の訪問に対して1件の成果が生まれている状態です。
もしサイトを改善してコンバージョン率を2%に引き上げられれば、同じ訪問者数でも成果は2倍になります。
このように、コンバージョン率はサイト改善の効果を測るための重要なものさしです。
購入ボタンのデザインを変更したり、入力フォームを簡略化したりといった施策でこの率の向上を目指します。
- 確認場所:この指標はGA4の標準レポートにないため、「探索」機能を使って自分で作成する必要があります。
「コンバージョン率」は、サイトの収益性を評価するための核心的な効率指標と言えるでしょう。
成果の絶対数であるコンバージョン数とセットでこの数値を追いかけることで、集客施策とサイト内改善の両輪での成長戦略を描くことが可能になります。
③ 合計収益:ECサイトで特に重要な売上金額
「合計収益」は、商品やサービスの購入によってサイト経由で得られた売上の総額を示す指標です。
特にECサイト(ネットショップ)を運営している場合、この指標はビジネスへの貢献度を直接的に測るための、まさに最終的なゴールと言えるでしょう。
コンバージョン数だけを追っていると「何件売れたか」は分かりますが、「総額でいくら売り上げたか」というビジネスの根幹が見えません。
高単価の商品が1つ売れるのと低単価な商品が10個売れるのとでは、事業へのインパクトは全く異なります。
「合計収益」という指標を見ることで初めて、どの施策が本当に利益に貢献しているのかを正しく評価できるのです。
例えば「流入チャネル」別の収益を分析した際に、「Web広告経由のユーザーは購入単価が高い」という事実が分かったとします。
この場合、広告ではより高価格帯の商品をアピールする、といった戦略の最適化に繋げられます。
なお、この指標を正確に計測するにはGA4で「eコマース設定」を事前に行う必要がありますのでご注意ください。
- 確認場所: [レポート] > [収益化] > [eコマース購入数]
「合計収益」はあなたのサイトが事業に対してどれだけの金銭的価値を生み出しているかを測る、最もダイレクトな指標です。
この数値を最大化することを最終目標に置き、他の指標を分析・改善していくことがECサイト運営の鍵となります。
分析を次の改善へ
繋げるための3ステップ

GA4で様々な指標を眺めているだけでは、サイトは1ミリも改善されません。
本当に大切なのは、データから得た気づきを「次の具体的なアクション」に繋げることです。
最後に、分析をサイト改善へと結びつけるためのシンプルな3つのステップをご紹介します。
- Step1:「探索」機能を活用してデータを深掘りする
- Step2:データからサイトの課題に関する仮説を立てる
- Step3:改善施策を実行し、再度数値を計測して効果を検証する
この3ステップは、データドリブンなサイト改善における王道のフレームワークです。
まずは標準レポートで全体の傾向を掴んだ後、GA4の強力な分析機能である「探索」を使い、データを多角的に深掘りして課題のヒントを探します。
次に見つかったヒントを元に「このページのコンバージョン率が低いのは、ボタンの色が原因ではないか?」といった具体的な「仮説」を立てることが重要です。
そして最後に、その仮説を検証するためにボタンの色を変えるなどの「改善施策」を実行し、一定期間後に再び数値を計測して、施策が成功だったかを判断します。
このサイクルを回すことで、感覚に頼らない、根拠のあるサイト改善が可能になります。
Step1:「探索」機能を活用してデータを深掘りする
サイト改善の具体的なヒントを見つけるにはまずGA4の「探索」機能を使い、データを自由に組み合わせて深掘りすることが重要です。
標準のレポートで全体の傾向を掴んだ後、一歩踏み込んだ分析を行うための最初のステップとなります。
なぜなら、標準レポートがサイト全体の「平均点」を示すのに対し、
「探索」機能では「特定の年代のユーザーの行動」や「特定の広告からの訪問者の動き」など、より詳細な分析が可能だからです。
これにより漠然とした問題ではなく、改善すべき具体的な課題の核心に迫ることができます。
例えば「自由形式」の探索レポートで「ページの場所(URL)」と「セッションのコンバージョン率」を掛け合わせて分析したとします。
その結果「特定のサービスページのコンバージョン率が著しく低い」という事実が判明すれば、まさにそのページが改善すべきターゲットだと明確に特定できます。
「探索」機能はデータとの対話を可能にし、課題発見の精度を高めるための強力なツールです。
まずはこの機能に慣れ、様々な角度からデータを眺め、サイトのどこに改善のヒントが隠れているかを探してみましょう。
Step2:データからサイトの課題に関する仮説を立てる
データ分析で課題のヒントを発見したら、次に「なぜ、この数値は低いのだろう?」という問いを立て、具体的な「仮説」に落とし込むことが重要です。
これがデータと改善アクションとを繋ぐ、非常に重要な思考プロセスです。
データは「何が起きているか」という事実を教えてくれますが、「なぜ起きているのか」という理由は教えてくれません。
その理由を考え、改善策の方向性を定めるのが仮説の役割です。
仮説がなければ闇雲に改善を行うことになり、時間とコストを無駄にしてしまう可能性があります。
先ほどの例「特定のサービスページのコンバージョン率が低い」という事実に対し、以下のような仮説を立てます。
- 仮説A: ページの魅力が伝わっておらず、ユーザーが途中で離脱しているのではないか?
- 仮説B: 「問い合わせ」ボタンが分かりにくく、クリックされていないのではないか?
このように検証可能な具体的な仮説を立てることで、次に行うべきアクションが明確になります。
仮説立案はデータ分析を具体的なビジネス成果に結びつけるための「橋渡し」です。
見つけたデータから精度の高い仮説を立てるスキルを磨くことが、効果的なサイト改善の鍵を握ります。
Step3:改善施策を実行し、再度数値を計測して効果を検証する
精度の高い仮説を立てたら、いよいよ最終ステップです。
その仮説を検証するための「改善施策」を実行し、施策の前後で数値を比較して、実際に効果があったのかを客観的に判断します。
施策を実行しただけで満足してはいけません。
その改善が本当に正しかったのかをデータで証明して初めて、サイト改善の成功と言えます。
効果検証を行うことで成功した施策は他のページにも展開できますし、もし失敗してもその原因から新たな学びを得て次の仮説に活かすことができます。
「ボタンが分かりにくい」という仮説Bに基づき、ボタンの色を緑から目立つオレンジに変更し、文言も「詳しくはこちら」から「今すぐ無料で相談する」に変えたとします。
その後1ヶ月間データを計測し、そのページのコンバージョン率が実際に改善したかを検証します。
もし数値が上がっていれば、その施策は成功だったと判断できます。
このように、サイト改善とは「分析→仮説→施策→検証」のサイクルを継続的に回していく活動そのものです。
一度きりで終わらせず、このサイクルを何度も繰り返すことがあなたのサイトを成長させる最も確実な道筋となるでしょう。
まとめ
データ分析をサイト改善の武器にしよう
GA4は非常に多機能ですが、今回ご紹介したように「目的」を明確に定めることで、見るべき指標は驚くほどシンプルになります。
最後に、本記事の重要なポイントを5つにまとめました。
- GA4の分析は「集客・行動・成果」の3つの目的から始める
- 「ユーザー数」と「流入チャネル」でサイトへの訪問者の量と質を把握する
- 「エンゲージメント率」でページの品質とユーザーの満足度を測る
- 「コンバージョン」に関する指標でビジネスへの貢献度を評価する
- 最も重要なのは「分析→仮説→施策→検証」のサイクルを回し続けること
まずはこの記事で紹介した指標の中から一つでも構いません。
定期的に数値を追いかけ、その変化から仮説を立て、小さな改善を試みることから始めてみてください。
その一歩一歩の積み重ねが、あなたのサイトをデータに基づいて成長させる、最も確実な方法となるはずです。